評定の具体例その1〜邪馬台国畿内説〜

暁 美焔(Xiao Meiyan) 社会学研究家, 2021.2.6 祝3.5版完成!

ニュース事例による疑似科学入門〜ニセ科学批判を通した社会科学入門〜(前ページへ戻る)


 傍観者精神に支配された教育界やマスメディアの駝鳥達に代わって邪馬台国畿内説を評定してみよう! 前提である「楽浪郡平壌説」への疑問や「邪馬台国が日本には存在しなかったのではないか」という疑問については、持たない事が奨励されている。また、集団思考の兆候も全て当てはまる。
  1. 失敗しても集団は不死身という幻影〜邪馬台国畿内説は不滅である。
  2. 強い「われわれ感情」〜畿内説以外を主張する者達は敵である。
  3. 合理化(責任を他の人に転嫁)〜倭人伝の説明に合わないのは、倭人伝の記述が正確でないから。
  4. モラルの幻影〜前提である楽浪郡平壌説を当然のことであるとして、それを注意深く検討する気を起こさせないようにする
  5. 個々のメンバーが自己検閲をするようになる傾向〜存在基盤を揺るがす説は話題にしない。
  6. 満場一致の幻影〜論証は不要である。
  7. 不一致の兆候を示す人たちへの直接的圧力の適用〜異端者は徹底攻撃か、徹底無視。
  8. 心の警備(異議を防いで保護)〜存在基盤を揺るがすような異説からの保護。
 また、「楽浪郡平壌説」に対して疑問を持つ者に対して以下のような「同調圧力」もかけている。
  1. 少数意見を有する者に対して物理的に危害を加える旨を通告する
  2. 多数意見に逆らうことに恥の意識を持たせる
  3. ネガティブ・キャンペーンを行って少数意見者が一部の変わり者であるとの印象操作をする
  4. 「一部の足並みの乱れが全体に迷惑をかける」と主張する
  5. 少数意見のデメリットを必要以上に誇張する
  6. 同調圧力をかけた集団から社会的排除を行う
 また、集団思考に関連する誤謬である、 チェリー・ピッキング希望的観測道徳主義の誤謬怠惰な帰納年代に訴える論証伝統に訴える論証特例嘆願前提のごまかし無敵の無知論証モラルに訴える論証井戸に毒を入れる誤謬偏見に訴える論証悪意に訴える論証決め付け言葉罵倒の誤謬威力に訴える論証吐き気を催す論証プープーの誤謬衆人に訴える論証、 は全て使用されている。 議論にはプロパガンダの技術がいくつも使用されている。 また、疑似科学のWikipedia英語版で説明されている疑似科学の特徴も全て備えている。

 正当化されない上、反証可能性が無い。 テレンス・ハインズ、ポール・サガード等の著名な科学哲学者達の提唱してきた疑似科学の基準も満たしている。 それに加えて、アーヴィング・ジャニスによる集団思考の兆候も全て備えている上、 集団思考に特有の誤謬は全て使用されている。 また「もうすぐ新たな考古学的発見がされ、畿内説が証明される日は近い」と言われており、「未来への逃避」の兆候も備えている。 これだけの検証でもまだ、邪馬台国畿内説が疑似科学であるかどうかに疑問があるのであれば、 カール・セーガン博士の提唱したトンデモ話検出キットを使ってチェックしてみれば良いであろう。

 邪馬台国畿内説とは、「邪馬台国は日本にあった」という前提の下で初めて成立する理論であり、 社会的影響で維持されている「楽浪郡平壌説」と共に消え去る運命にある、正真正銘の疑似科学である。

子供だましの幻想
駝鳥仮説答えが見つかる国の駝鳥防止教育答えが見つからない国の駝鳥養成教育
ゴールどんな話が答えなのかを知る好きな話を答えに、嫌な話を間違いにする(ダチョウの卵誕生)
考え方どんな話でも、おかしい所がないかチェック好きな話におかしい所があっても気にしない(卵を温める)
答えの決め方誰にもおかしい所が見つけられない話が答えおかしい話でもみんなが好きな話が答え(みんなで卵を温める)
答えが出ない時問題の前提に誤りが無いかチェック好きな話を生み出す前提は絶対に疑わない(もうすぐ孵化)
嫌な話を聞いたらみんなでおかしい所がないかチェックみんなで無視(プープー)。嫌な話は無い事にする(ダチョウ誕生!)
嫌な話をする人に話のどこがおかしいか、理由を言う嫌な話をする人の頭がおかしいと言って怒る(みんなもダチョウにする)
答えは見つかるかどんな話でも答えにするのでいずれ見つかる答えが嫌な話だとダチョウ達には永遠に見つける事ができない


 畿内説や九州説は歴史学の研究方法から判断すると、 説明範囲が狭く、説明力が低く、もっともらしくなく、アドホックであり、不当である。 それに対して朝鮮半島説は畿内説や九州説と比べると「説明範囲が広く、説明力が高く、もっともらしく、アドホックでなく、不当でなく、他の仮説よりも良い」を満たしている。 そして「ミリュー制御」が行われ、 朝鮮半島説は公の場でその存在が許されていない。 そもそも中国の正史に誰にも分らないような記述がされるはずがないのだ。 歴史書を記述した者は、邪馬台国への行程を誰にでも分るように記述したはずだ。 邪馬台国が誰にも見つけられない時点で、 「擬似問題」である事を疑うべきである。

 「進歩が生まれるのは、多様性の中の選択からであって、画一性を保持するからではない。」とは、 イギリスの評論家ジョン・ラスキンが述べた言葉である。 邪馬台国論争に進歩がないのは当然の結果なのだ。 何故ならば、日本社会のシステムが一致団結して画一性を保持しているからである。 そして「歴史は真理が迫害によって踏みにじられた実例に満ちている」とは、 イギリスの哲学者ジョン・スチュアート・ミルが述べた言葉である。 日本人はどうして真理が迫害によって踏みにじられている事に気付かないのだろうか? それは日本人が単に「真理には到達できないように」だけではなく、 「真理に到達できない事に対して疑問を持たぬように」社会的にコントロールされているからだ。

 邪馬台国の位置問題とは単に歴史問題であるだけでない。 それは日本社会のタブーに触れる社会問題でもある。 そして邪馬台国論争について「公の場で真理を語る」という行為とは、 それは「現状の社会システムへの反逆の意思表明」を意味するのである。 「社会を批判する者は、社会から批判される」とは、 イギリスの小説家ラドヤード・キップリングが述べた言葉だ。 人々は社会からされるであろう批判の恐しさを理解している。 だから真理を見てしまった者達は社会から批判されるのを恐れ、 「ダチョウ化の呪い」がかけられるのだ。 これまでにも邪馬台国の謎を解いた者達は少なからず存在したはずだ。 しかし、皆ダチョウになってしまったのだろう。

 「ジャーナリストは、真実でないと自ら心得ている事柄を語る。 しかも、それをしゃべり続けているうちに、真実になるかもしれないと願っている。」と述べたのは、 イギリスの小説家アーノルド・ベネットである。 「歴史学の権威は信頼できる」という仮定を前提にして「邪馬台国」という歴史ロマンをマスメディアが垂れ流しているうちに、 マスメディアばかりでなく日本社会全体がそれが真実になるのだと願ってきたのだ。 そして日本社会全体がとっくの昔に「戻れない一線」を越えてしまい、 もう戻る事ができなくなってしまったのだ。 現実世界においては例えどれだけ社会全体で真実になるように強く願ったところで、 それが真実になる事など決して有り得ないにも拘わらず。

 「認識論」などという学問は、 一般の日本人は聞いた事がそもそもなかったはずだ。 それは日本社会のパンドラの箱の中に封印されているからである。 邪馬台国の場所とは「見つからない」のではない。 それは「見つかったら終わり」なのである。 何故ならば「歴史学の権威は信頼できる」という前提の下でパンドラの箱の中に封印されているのは、 邪馬台国だけではないのだから。

さらに詳しく!

 以下においては、「邪馬台国論争の真相」を更に詳しく説明します。 邪馬台国論争の背後に隠されている歴史の恐るべき闇の真相に比べれば、 「邪馬台国の位置問題」など全く取るに足らぬ問題である事がきっと理解できるでしょう。 邪馬台国の禁忌とは、より巨大な禁忌(部屋の中の象)が隠れている部屋への侵入を守っている「守護ゾウ」に過ぎません。 邪馬台国の女王卑弥呼とは「古代史ロマン」などではありません。 「恐怖の大王」が封印されたパンドラの箱を守護するために日本社会が作り出した、 「迷妄による破滅の女神」なのかもしれません。 でももし「恐怖の大王」の正体を見てしまったら、 きっとパンドラの箱を開けようとする勇気は打ち砕かれることでしょう。

1) 「邪馬台国論争の真相」はこちらへ(一般向けのトップページへ)
2) 「社会科自由研究歴史テーマに面白い「現代社会の裸の王様」」はこちらへ(中学生、高校生向け)
3) 「夏休みの宿題に最適な邪馬台国朝鮮半島説〜大人たちの知らない日本人の起源〜」はこちらへ(小学生向け)
4) 「虚構の楽浪郡平壌説〜帯方郡、玄菟郡、馬韓の場所と禁断の高句麗史〜」はこちらへ(遂に本題へ
5) 「歴史の真実に至る議論の方法入門」はこちらへ(一般向け)
6) 「邪馬台国論争を巡る社会の禁忌〜懐疑論者がネトウヨ認定される理由〜」はこちらへ(その1:成人向け)
7) 「ニュース事例による評定の演習問題〜社会学入門レポート具体例〜楽園仮説〜」はこちらへ(その2:王様は誰?)

応援メッセージが続々!
世の中には辻褄が合わなくても気にしない人達がたくさんいるようですね。
畿内説って邪馬台がヤマトだとか、オヤジギャグを飛ばしてただけだったんですね。
こんな簡単な問題が100年たっても解けないなんて、世の中バカばっかりですね。
邪馬台国論争が終結しない理由って、誰も歴史の真実に向き合う事ができないからだったんですね。
ニセ科学は「個人の趣味」の範囲なら良いですが、「学校教育の場」に出てきたら批判すべきです。
不都合な真実から目を背け、都合の良い物語を史実にしようとする人達の事を「歴史修正主義者」と言います。
歴史修正主義者には何も与えてはなりません。与えて良いのは侮蔑だけです。
マスメディアの社会的役割とは、「国民の知る権利を代行して真実を伝える事」です。
ジャーナリズムとは「報じられたくない事を報じる事」で、それ以外のものは広報にすぎません。
「大人になる」って「ダチョウになる」事なのでしょうか。
トンデモ歴史を幼少から叩き込まれ、それが常識となっている社会って怖いですね。


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